禅自問自答

なにかと考えています。

バレンタインデーにふ菓子を流行らせる

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どうも、今年はマジでチョコがもらえそうにない清水です。

チョコレートがもらえないことを本気で嘆き、逆にチョコレートに恨みを覚えてしまいました。なので、大学のレポートでバレンタインにふ菓子を流行らせるといったふざけた内容のものを提出したので、以下に一部改変して載せようと思います。いつもと違ってクソ読みにくい文章になっている上に長いんですけどね。暇な人は読んでみてください。

 
季節限定の菓子類における成功要因と新規参入方法の検討
 
 
目次
 
 

1.はじめに

 
イベントによって、季節限定の商品が販売されることがあるが、その中でも特に活気のある食品は菓子類ではないだろうか。例えば昔からあるものとしてはバレンタインやクリスマス、お正月等に併せてパッケージングを変えて販売促進を図る商品などのことである。上記のような日程が定まっているイベント外においても、受験シーズンには語呂合わせなどを使い、キットカット(きっと勝っと)やカール(受カール=受かる)等が季節限定品として販売されている。また、最近ではハロウィンなど日本ではあまり普及していなかったイベントも国内に広がりつつあり、季節限定商品はそのような流行に漬け込む形で販売している。その他にも、節分では数年前から食品として恵方巻きが定着し始め、最近では渋谷などの各地でコスプレをした人が徘徊するなどして、イベントとしての色が強く出始めている。このようにして、ここ数年で国内外を問わず季節限定のイベントが大いに盛り上がっており、食品企業は少なからずこの流行に目をつけて季節商品の販売を促進するよう戦略を立てているように思う。以下、イベント毎の季節限定の菓子類食品について、「イベント菓子」と呼ぶことにする。
 
このような、ここ数年で特に目立っているイベント菓子において、売れるための条件を考え、成功の秘訣は何なのか、またイベント菓子の新規参入で見込めるものはないのかといった内容について、本レポートではイベント菓子特有の性質についての考察に加え、食品マーケティング的観点を取り入れて検討する。
 
 

2.イベント菓子の定義とメリット・デメリット考察

 
今回のレポートでは、イベント毎の季節限定の菓子類食品のことをイベント菓子と定義付けることにする。イベントとは季節ごとに訪れる年に一回ないしは一時期間のものを指し、人によって時期が極端に異なるもの(例:誕生日など)については範囲外とする。また、イベントに関係ない季節限定商品(例:春季限定ポテトチップスや冬季限定チョコレート等)もイベント菓子の定義から除外するとする。あくまでも、一年中販売できるものではなく、一時期間集中期に販売促進でき、かつ範囲の狭いものに条件を絞る。また、販売目的の達成としては、「イベント後に量販店で投売りされる販売」を除き、イベント期間内の店舗販売数を考察することにし、イベント後販売が過剰な商品を「失敗イベント菓子」、イベント前販売がメインで既に消費者の多くが認知しているものを「成功イベント菓子」とする。
 
次に、そもそもイベント菓子はどのような点において優れているか、どのような点が劣っているかを考察する。優れている点は、イベント限定と冠することによる売り上げの増加が見込めることと、商品の知名度増加に繋がることである。売り上げの増加に関して、よく「日本人は限定モノに弱い」とメディアで報じられることが多いが、実際はどうなのだろうか。2013年に株式会社バルクによって行われた合計1000人を越える人を対象に行われたアンケート調査によると、期間限定、季節限定、地域限定などの「限定」と書かれた食品や飲料を購入したことがある人は全体の約75%であり、購入理由(複数回答可)は、「限定という言葉に惹かれたから」約66%、「普段買えない特別な感じがするから」「試してみたかったから」が約49%といった結果となった。
 
他にも、「期間限定」「季節限定」「地域限定」の言葉の中でどれが一番惹かれるかといったアンケートでは期間限定が一番高く地域限定が低いといった回答になり、購入するタイミングは特別な日ではなく日常の中で購入されることが約8割を占めていた。
 
 
 
このように、季節限定商品には販売促進効果があり、この販売促進によって売り上げの増加とともに知名度の上昇も見込むことができる。また、季節限定という形で他企業の商品と差別化を図ることもできる。
 
以上のように、イベント菓子の販売は一石二鳥ではあるのだが、季節食品全般に言える致命的なデメリットも存在する。それは、売れ残ると一気に商品価値が下がってしまうことである。食品以外の季節商品の場合、ファッション等においてはトレンドもあり売れ残った時の価値はかなり下がるが、それでも販売期限があるわけではない。しかし、食品の場合は賞味期限があり、菓子類の場合は一年以上保存できるものが少ないので、売れ残ってしまった場合どうしようもなくなってしまう。例えばドンキホーテや郊外型の一部ジャンク系のスーパーでは、このような売れ残った季節限定品は低下の半額以下の値段で販売されていることが多々あるが、これは特殊な事例であり、またこのような販売方法でいわゆる「投げ売り」をされてしまうと、消費者に売れ残りの印象を与え、マイナスイメージが定着してしまう恐れがある。仮に一年間保存できたとしても、その保存場所の問題はもちろん、通常作られる商品よりも賞味期限が一年短いので、どうしても年をまたいで販売することは難しくなっている。季節限定食品の場合は指定時期が広いので比較的販売促進対策はできるが、イベント菓子となると売れ残ったらその後の販売は極めて困難であることがわかる。パッケージングを変えて再度販売する手段もあるが、コストが嵩んでしまう。つまり、イベント菓子における売れ残りは致命的な問題となり得るのではないだろうか。
 
以上、イベント菓子の定義とメリット・デメリットにおいて解析した。ここらからは、以上の内容を踏まえて、成功イベント菓子について解析と成功するに当たっての必要要素を考察する。
 
 

3.現在の有名イベント菓子解析

 
ここでは、有名イベント菓子についてイベント毎に軽く解説する。
 
まずはバレンタインだが、こちらは特定のものですぐ浮かぶものはあまりないと思われる。しかし、バレンタンでは特にチョコレート部門では各メーカーが力を入れており、バレンタイン限定の商品や限定パッケージングの商品、または限定コラボレーション等をして販売されている。2016年では老舗チョコレート会社ROYCEがポッキー、ガリガリ君カプリコなどの複数菓子商品とコラボしてイベント菓子を販売している。また、各百貨店がバレンタイン限定のチョコレートを販売しており、いずれも季節になると販売店は大混雑している。私も去年池袋の西武デパートへバレンタイン限定のゴディバチョコレートを買いに赴いたが、30分ほど並ばなければ買えないような混み具合であった。
 
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次にハロウィンに関してだが、有名なものとしてカントリーマアムが挙げられる。昨年のハロウィンにて限定パッケージでカントリーマアム ココア&バニラ味が発売されたが、外袋だけではなく個装までハロウィン仕様になっている。残念ながらカボチャ味の発売には至っていない。(2008年にはハロウィン合わせでパンプキン味が発売されている。)その他の限定商品でも、かぼちゃ味に変更しているものや、包装のデザインを変えるなどして販売された。売れ残った商品は現在地元のスーパーで安く投げ売りされてしまっている。
 
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最後に、クリスマスについて考える。クリスマスのイベント菓子で有名なものは、飲料になってしまうがやはりコカ・コーラなのではないだろうか。毎年シーズンにCMを流す等して「コーラ=赤=クリスマス」といったイメージを消費者に定着させているが、そもそもクリスマスカラーが赤だといったイメージを定着させたのは他でもないコカ・コーラ社であると言われている。このような色のイメージから、クリスマスのイベント菓子は包装が赤やツリーの緑色を基調として作られることが多く、特にケーキ等でクリスマス用の包装になって販売される。例として、赤と緑を基調にしたパッケージングで販売されたクリスマス限定ビスコが挙げられる。他にも、プレゼント用の大きい靴の包装にいくつかの駄菓子を詰め込んで販売されるなど、個々のパッケージングに手を加えない手法が取られることもある。
 
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4.イベント毎に求められるイベント菓子の必要要素考察

 
以上の実例から、イベント菓子に必要な「売れる条件」を考える。
 
まず一つ目はパッケージングおよび中身の「色」のイメージである。バレンタインの場合はチョコレートの黒または茶色、ハートのピンクやプレゼントの高級感を表す金の包装であることが望ましい。ハロウィンではかぼちゃの茶~橙色もしくはおばけの黒~紫色、クリスマスでは上記の通り赤と緑などである。パッケージングはもちろん、中身もこのイメージカラーであるとなお望ましい。実際にバレンタインの色イメージであるピンクに寄せて、ポッキーが苺味を季節限定で販売している。このような「色」のイメージを商品要素に盛り込むことはとても大事なのではないか。
 
次に必要な要素は「味」のイメージである。ハロウィンやクリスマスでは菓子類全般が対象になるが、イメージとしてチョコレートが先行しているバレンタインでは甘いもの以外のイベント菓子の売り上げは見込めない。逆に、この味に寄せて、塩味のイメージでおなじみのポテトチップスはチョコレート味を期間限定で発売している。バレンタイン限定でパッケージングを変えてもうすしお味のポテトチップスでは売り上げが見込めないのではないだろうか。
 
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また、プロモーションはもちろん重要である。コカコーラ社がクリスマスに併せて赤色のサンタクロースをCMで流しイメージを定着させたように、広告の種類を絞り、消費者にアピールする必要がある。これはパッケージングにも関わるが、どんなケースでも自己主張ができることが大事である。しかし、季節限定商品のためにテレビコマーシャルを用いるには費用対効果に差が生じてしまうので、小売店単位で考える必要がある。
 
もう一つの流行条件として、「作れるかどうか」が重要であると考える。これは直接的な実売数には関わりがないように思えるが、イベントにおける商品ジャンルの確立に重要なのではないだろうか。例えばバレンタインのチョコレートやクリスマスのケーキ等、自己消費ではなく「人にプレゼントをすること」を目的として販売される商品の場合、オリジナリティを消費者が尊重することが多いので、手作りをする人が多くいる。そのようなやりとりの中で、クリスマスにおけるケーキ、バレンタインにおけるチョコレートといったものが根強くなるのではないだろうか。
 
以上4点を踏まえた上で、実際に成功イベント菓子を生み出せないだろうか?条件に即したものを次項で考えてみる。
 
 

5.イベント菓子食品の新規参入案

 
ここまでに綴った条件に即して、新しいイベント菓子の流行を食品マーケティング的な観点から生み出せないであろうか。これについて考察する。今回は、色のイメージと味のイメージが最も強いイベントであるバレンタインについて考える。
 
条件に沿うと、バレンタインの商品戦略では「黒、茶もしくはピンク色で甘くて作れるもの」が必要条件である。これについて、一番適しているのはショコラやブラウニーではないだろうか。これに関してはチョコレートの派生であり、また一部の間ではチョコレートのかわりに既に扱われているものの、現在そこまで目立ったイベント菓子はチョコレートに比較すると流通していないように思える。どちらも色は焦げ茶色をしており味も甘く何より作りやすいのである。これに関しては前々から高級店が販売しているのだが、大規模な菓子企業ではあまり力を入れていないように感じる。大規模な菓子会社が一般的な小型小売店に流通するように販売し、コスト面でも購入を躊躇わない価格帯に設定し、内容物に即したイベント用のプロモ ーションを行えば販売数は見込めるのではないだろうか。難点はチョコレートと比べて賞味期限が短くなってしまうことである。なので、季節外でのコンスタントな販売は、専門店でない様々な菓子類を扱うメーカーには難しいのではないだろうか。
 
次に内容に即しているものは麩菓子である。麩菓子とは、水で練った小麦粉に含まれるタンパク質のひとつであるグルテンを主原料とした麩に水に溶いた黒砂糖を塗り、オーブンで焼いて作る駄菓子のことである。本当にこの食品がバレンタインのイベント菓子に適しているのか検討する。
 
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麩菓子はバレンタインのイベント菓子に必要であるとした「色、味、作れるかどうか」について考えると、色と味のふたつが合致しているのである。色は黒く、また塗るものを変えればピンク色にもなり得る。静岡名物の「さくら棒」はピンク色の麩菓子として有名である。
 
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また、砂糖菓子なので甘く、この点もイベントに適している。しかし難点もいくつかあり、パッケージが大きくなってしまう点、消費者が作ることが難しい点、そして現在チョコレートやブラウニー等と比較すると麩菓子があまり作られていない点である。パッケージが大きくなってしまうのは致し方ないことではあるが、消費者が作ることが難しい点は問題である。オリジナリティーを個々人が出せない環境にあるので、その環境を企業 が整えれば良いのではないだろうか。例えば麩菓子作成キットをパッケージとして小さく纏めて売り出し、家庭用オーブンレンジで作れるようにすれば上記2つの問題が一気に解決される。しかし、この問題を解決しても残るのが、それを実行に移す会社が無いことと、他の食品と比較してプロモーションに掛けるべきコストが非常に高くなると予想されることである。麩菓子自体に流行のポテンシャルがあるとしても、プロモーションによって「昔の菓子」といったマイナスイメージを払拭しないことには始まらない上に、現在市場を席巻している大企業は麩菓子を作っていない。この点を考えると非現実的ではあるが、企業が上記の点を踏まえて取り組めば一大ブームを巻き起こせるのではないだろうか。
 
 

6.おわりに

 
今回、季節限定の菓子類における成功要因と新規参入方法の検討と題して、イベント菓子の成功要因とバレンタインにおける新規参入案をマーケティングの観点やアンケート情報、現在成功している事例から検討した。自身による分析がメインではあったが、その他にも製品戦略やプロモーション戦略にて考察を行い、実例から新規案を考えたが、内容としては不十分であるものの一考に値するものになったのではないだろうか。これを期に、今後展開されるイベント菓子に目を向け、失敗条件と成功条件を再考し、事例から成功案を画策していきたい。
 
 
参考文献
 
限定商品に関する調査 バルク マーケティングリサーチサービス http://www.vlcank.com/mr/report/075