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禅自問自答

なにかと考えています。

2 words "Excepted" worlds , 物語は[作られる]という話

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ドーモ!清水です。最近一気に冷え込みましたね。春夏秋冬、常に半袖にパーカーの清水も齢22にして流石に折れそうです。

 今回はいつものアホな話とは少し毛色の違う内容です。先日aware(アワレ)名義で発売した[2 words "Excepted" worlds]という謎めいたCDの解釈とかの手助けになるような考え方を書いていこうかと思います。

 

特設↓

2 words "Excepted" worlds

 

委託サイトはコチラ↓

2 words “Excepted” worlds(aware)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス

Satellite Himawari 2 words "Excepted" worlds | あきばお~こく

TOKYO FUTURE MUSIC

 

さて。改めまして、先日はM3お疲れ様でした。多くの方にお手にとっていただけて嬉しい限りです。本来はここでおしまい、次回も頑張りますと続いて終わりになるお話なのですが、本作品は「残響っぽい感じで透明感のあるデザインと音楽」という感じにコンパクトに纏めたため、CD上では何一つコンセプトやテーマ、内容の説明が為されていないという、本当に謎めいた一枚になってしまいました。

本来、作品はそれがあるべき姿であって、作品解釈はお手にとってくださった皆様一人一人がそれぞれ感じ、考えたものこそ正解となると考えています。現にわたしは今まで作ってきた東方アレンジ楽曲に関しては、イラストを描いていただく時やデザインをお願いするときの先方を除いて、解説などを折り入って行うことはしてきませんでした。作品は作者の手を離れたところで作者とは別に生きている、と考えているからです。

しかしながら、今回は初のオリジナルで、尚且つなかなかに難しいテーマを扱っている内容となっているので、このままではあまりにも説明不足が過ぎるかなと思いまして。ですので、わたくしの自己満足ではありますが、補足的な形をとってここに記していきたいと思います。

 

なお、本項を読むにあたって、[2 words "Excepted" worlds]をお持ちでない方は先に委託ショップで購入して一聴しておくか、もしくは街中で清水に出会ったときに奪い取って一聴しておくか、とにかく聴いておいた方が楽しめると思います。また、本項を読んで興味を抱いた方がいらっしゃいましたら是非お買い求め下さい。よろしくお願いします!

 

目次

 

①本作品を解釈する上での概念説明

さて、まずはこの作品を解釈する上で必要な概念をざっくり説明します。ちなみにですが、世界観や概念的な部分は高橋源一郎著[さよならクリストファー・ロビン]という短編小説から着想を得ています。こちらの20〜30ページほどの短編小説さえ読んでいただければ、わたしの言葉の200倍はわかりやすく概念を理解できると思いますので、ぜひご一読いただければ幸いです。また、これから上記の作品を読む予定のある方は壮大なネタバレになってしまうので、本項は小説を読んだ後に追った方が楽しめる中身となっているかと思います。上記短編小説を読んだことのある方に関しましては、こちらの項目は飛ばしていただいて構いません。

 

さよならクリストファー・ロビン

さよならクリストファー・ロビン

 

 とても面白いのでみんな読んでみてね。

 

 

それでは、順に概念を説明していきます。

 

1.言葉とは認識であり、認識とは世界である

人は[言葉]によって[定義]することで、ものを認識します。例えば、わたくし清水のような無知蒙昧な輩が山登りをしたとします。空を飛んでいる鳥は「綺麗な鳥」「白い鳥」、生えている草 は「変わった形の草」「普通の草」と曖昧に捉えるでしょうし、或いは意識することさえしないかもしれません。

しかし、その分野に精通している人が同じように山登りをすれば、あの綺麗な鳥、白い鳥、変わった形の草、普通の草と清水が評したものの名前を言い当て、着目するでしょう。また、清水が「普通の草」と一括りに纏めてしまったものも詳細に分けて説明してくれるかもしれません。

音楽にぜんぜん興味のない人は、肩から下げて弾く弦楽器を全て「ギター」と呼ぶかもしれません。しかし、少しでもやっていれば、弦が細く6本あるものはギター、弦が太く4本あるものはベースと、考えもせずに認識できるでしょう。

 

つまり、[認識]とは[言葉]によって定義されるものであって、言い換えれば[言葉]とは[認識]そのものなのです。また、わたしたちはその[認識]によって自分の世界を[定義]します。つまり、人間にとって、[言葉]とは[認識]であり、[認識]とは[世界]なのです。

わたしたち人間にとって、[言葉]とは[世界]そのものなのです。

 

2.物語は作られることにより言葉を持ち、認識され、世界を成立させる

続いて、物語世界においてはどのようになるのか考えてみます。

[物語]とは、[言葉]=[世界]である人間が言葉を紡ぎ、作る世界のことです。言い換えれば、人間が言葉を紡ぐことによって物語は成立します。つまり、[物語]は、認識されることによって物語世界を成立させます

とある物語が広く大衆に受け入れられるとします。その広く受け入れられた物語はさまざまな人にさまざまな解釈をされ、さまざまな二次創作が行われていきます。このような、人間の[認識]を経ることによって、物語世界は広く、深いものになっていきます。

纏めると、[物語]は人間に[作られる]ことにより言葉を持ち、人間に[認識]されることによって、物語の[世界]を成立させます

 

それでは、逆を考えてみると、物語世界の[]とはどののうな時に起こり得るものなのでしょうか?

 

3.物語は忘れられることによって世界を失う

物語世界が[認識]によって成立するならば、物語は[認識]されなくなる、つまり人間から忘れられる時が世界の[]となり得ます。物語世界は、忘れられることによって死んでしまいます。[忘却]は[]なのです。[認識]=[世界]であるならば認識されなければ世界は成立出来ません

 

4.現実世界における[死]とは何か

内容とは少し関係ない話に飛んでしまいますが、物語世界の[死]について前項で考えたので、現実世界についても少し考えてみましょう。

物語世界の[死]とは、人間に忘れられることと綴りましたが、現実世界ではいかがでしょうか。ここは人によって意見の分かれるところだと思います。物理的に心臓が止まった瞬間を境に[死]と呼ぶのか、或いは物語世界のように、人々から忘れられた瞬間を[死]と呼ぶのか。そもそも、人が生まれて、生きて、死んでいくこと、そのものが[物語]なのだと捉えてみると、わたしたちの本当の[死]も、忘れられること、つまり[忘却]なのかもしれません。

 

5.概念のまとめ

概念の説明だけでだいぶ長くなってしまったので、ここまでの内容を簡潔に纏めます。

[現実世界において、言葉とは認識であり、認識とは世界である]

[物語世界は、現実世界の人間に認識されることによって成立し、言い換えれば物語世界の死とは忘却そのものである]

[わたしたちの生きている現実世界も、わたしたちを物語と捉えれば、死とは忘却のことなのかもしれない]

 

 

②本作品世界の概要説明

①にて扱った概念を把握した上で、この[2 words "Excepted" worlds]という[世界]をざっくりと読み解いていきましょう。

 

[2 words "Excepted" worlds]、日本語に訳すと[ふたつの言葉が「取り除かれた」世界]です。ここまで読まれた方はもう既にお気付きかもしれませんが、本作品は物語世界の話であり、物語世界の[死]について綴っている内容です。

①で綴った通り、物語世界は人間の[言葉]によって作られ、認識されて成立し、忘れられることによって死んでいきます。では、物語世界の内部に視点を置いた時、物語はどのように死んでいくのでしょう?

本作はこの部分に重点を置いたものとなっています。これを説明するまで随分と長くなってしまいましたね。

 

わたしは、言葉によって作られた物語は、忘れられることによって言葉を失っていくのではないかと考えています。最初は些細なものから無くなっていくかもしれません。部屋に飾られた小道具や街の細かな造形、そんな細かい装飾をあらわす[言葉]から忘れられ、物語世界から取り除かれていきます。

しかし、忘却が進むにつれて、少しずつ物語を成立させるのに必要な要素が取り除かれていきます。最初は朝焼けや夕焼け、月や星だったのが、次第に羨望や嫉妬、恋慕や欲望の感情まで消えていってしまいます。そして最終的には、忘却も、死という概念も、始まりも終わりも、そして[あなた]と[わたし]も消えてしまうのではないでしょうか。

そんな、人々から忘れられていく物語世界を、物語内部に視点を置いて考えた作品が、[2 words "Excepted" worlds]、[ふたつの言葉が「取り除かれた」世界]です。

 

 

③本作品の詳細説明

以上の①と②を読んでいただければ、この作品を簡単に読み解くことができると思います。この長ったらしい説明もここまでで終えようかと考えたのですが、折角ここまで説明させていただいたので、蛇足にはなりますが詳細をもうちょっとだけ説明させていただこうかと思います。

 

1.本作品の世界は全て共通の物語世界

箇条書きのように説明していきます。本作品の楽曲はある一つの創作された[物語世界]に基づいて作られています。その特定の物語世界は広く深く作られ、人や人でないものも生き、自由に暮らしていたのかもしれません。物語世界の詳細については各々の考えるものが正解です。

 

2.本作品の物語世界の住人は[意思]を持っている

今回は物語世界に視点を置いた話なので、人に[作られる]ことによって成立する物語ではありますが、住人はみな[意思]を持っています。

そもそも、物語世界の住人は人の手から離れたところで[意思]を持つのでしょうか?これに関しては賛否の分かれる部分だとは思いますが、本作品では前提条件として物語世界の住人は[意思]を持ち、自分たちが物語世界の住人であることに気づいていないものとします。この話について掘り下げていくと、メタ的であったり取り止めがつかなくなったりと、わたしの力では纏めることが難しそうだと判断したので、このへんで止めておこうかと思います。物語世界の住人が意思を持つのか、或いは物語世界の住人が意思を持つという話を書く筆者が存在するから意思を持っていると錯覚するのか。これだけで5000字くらいになりそうな内容なので、このへんにしておきます。

 

3.本作品の物語世界は人々から忘れられていってしまう

気を取り直して再確認致しましょう。繰り返しになりますが、本作品は物語世界が忘れられるお話です。忘れられ、言葉が取り除かれていく様子を、それぞれの言葉に着目して歌だったりインストだったりで表現しています。そして、物語が忘れられるという物語こそ、高橋源一郎著[さよならクリストファー・ロビン]なのです。

 

4.[さよならクリストファー・ロビン]との相違点

(壮大なネタバレになりますので、これからさよならクリストファー・ロビンを読む予定のある方は絶対に本項を目にしないで下さい。)

さよならクリストファー・ロビンも、今回のCDと同じく物語が忘れられるというテーマの物語です。というか、こちらの小説こそ今回の本家本元のお話であって、わたしの出したCDは二次創作的な内容です。

 小説の内容をざっくりまとめます。(部分部分間違っていたらごめんなさい)

 

ある物語が、人々から忘れられていきました。生活していた森は[虚無]に包まれていき、遂には自身の家と足場ほどしか残りませんでした。

そこで、住人達は気付きます。「僕たちは、物語世界の住人で、物語が忘れられることで世界が消えている」ということ、そして「僕たちが僕たちの物語を書けば世界は存続するのではないか」ということに。

予想は的中していました。物語世界の住人達は世界を書き、森を書き、そして自分達のことを書くことによって、世界は存続しました。

しかし、自分の物語を自分で書く作業を毎日のように行っていく中で、住人達は次第に疲れていってしまいます。

人々は自分の物語を書くことをやめて、やめてしまった人は次の日には消えてしまっていました。

最後に残ったのはふたり。ふたりは、世界を繋ぎ止めることができるのでしょうか。

 

以上がネタバレ満載のあらすじです。あえて固有名詞は避けて書きましたが、だいたいこんな感じの物語です。

さて、同じ[物語が忘れられる物語]であるさよならクリストファー・ロビン2 words "Excepted" worldsの違いを考えてみましょう。一番大きい違いは、物語の住人達が自分達は物語世界の住人であると気付いているか否かです。

今回のCDに収録されている物語世界の住人達は、世界の存続方法はおろか、自分達の住んでいる世界が物語世界だということに気付いていません。

なので、本項を読まない限り、わたしたちは本CDが物語世界の話であるということすら把握が困難である、という内容になっております。難しいですね。

 

④本作品世界の各楽曲ごとの補足説明

ここまでで、本作の内容はあらかた説明出来ましたので、ここからは一曲ずつ説明させていただきます。

それぞれの曲は、ほぼすべて別々の[主人公]の視点で綴られる物語です。

 

1.Opening / Ending - Envy / Jealousy

[始まり/終わり]、[羨望/嫉妬]です。

 

詩人、つまり主人公は、言葉が消え始める前から既に言葉を投げ出していました。穿ったものの見方しかできない主人公は、目に映る全てを否定して、どこにも行けない、何にもなれない自分を、世界を投げ出していました。[君]すらも。

 

世界は、言葉を失っていきます。

羨望や嫉妬という言葉を失うことによって、今まで他人や[君]に対して抱いていた感情が少しずつ変わっていきます。もしかして、ぼくは[君]のことが、

 

[始まりなんてないし、終わりもない世界で 君だけはって届きもしない歌を歌う]

 

始まりも、終わりも消えてしまった世界の中で、主人公は、[君]のことが好きだったということに気付くことができました。言葉を失うことによって、感情を得ることができました。でももう、それを伝える術は、消えてしまったのだけれども。

 

2.Love / Lust - Dedication / Affection

[恋慕/欲望]、[献身/愛]です。

恋慕とは何なのでしょうか?恋慕とは結局自分を満足させる、欲望を満たすためだけの感情なのではないでしょうか?

僕は、恋慕と欲望が混ざり合う前から既に、恋慕とは欲望そのものなのだと考えていました。その欲望を満たしているだけなのに、笑顔を見せてくれる[君]に罪悪感を抱きながら。

 

愛とは何なのでしょうか?愛とは結局相手を満足させる、献身の感情なのではないでしょうか?

君と呼ばれた[わたし]は、献身と愛が混ざり合う前から既に、献身とは愛そのものなのだと考えていました。その献身を捧げているのに、死にたいなんて言葉を吐く[あなた]に抱き寄せられながら。

 

3.Oblivion / Decease -Word /World

[忘却/死]、[言葉/世界]です。

物語世界にとって忘却とは死です。しかし、そのものの言葉、概念すらも消えてしまいました。忘れることを忘れてしまうのです。

病室にひとり佇み、人生を回想している[わたし]。人は生を授かり、心臓が動き始めます。機能や言葉を獲得していき、各々の[物語]が形成されていきます。しかしながら諸行無常、生きているものはいつか死にます。物語は少しずつ消えていき、最後は心音を失ってしまいます。[わたし]は、病室でひとり静かに息を引き取ります。

[言葉/世界]。心音が止み、消えていく[あなた]を看取るわたしは、[言葉が取り除かれる]現象の解決方法を探っています。言葉が先か、思考が先か。消えていく言葉の海で、主人公は[言葉にしないことによって、言葉を失わない]という方法を発見します。しかしそれは逆説的に[言葉を失う]ことそのものであり、根本的な解決には至りませんでした。わたしは、遂に[言葉]という言葉を失ってしまいました。

 

4.You / I - 2 words "Excepted" worlds

[あなた/わたし]、[ふたつの言葉が「取り除かれた」世界]です。

 

あなたとわたしの境界線がなくなることは、言葉の崩壊そのものです。Exceptedの最終段階で、物語世界の住人達は走馬灯のように今までのことをすべて振り返ります。物語世界の[死]はもうすぐそこです。

 [2 words "Excepted" worlds]。ここまで扱ってきた羨望と嫉妬、恋慕と欲望、献身と愛、忘却と死、言葉と世界、始まりと終わり、そしてあなたとわたし。言葉が混ざり合って、溶け合って、消えていく様子を淡々と告げます。最後の言葉は音もなく消え、物語は死にました。

 

 

 

⑤おわりに

いかがでしたでしょうか。少し解説し過ぎた感は否めませんが、こちらを読んでいただければ数倍楽しめる内容にはなっているんじゃないかと思います。

今回は全く描いていない、物語の[作者]の話は、いつか続編として作成したいなと思っていますのでその際は是非よろしくお願いします。

 また、本作品について何かしらの疑問や質問がございましたら、お気軽に@satellite_ars までご連絡下さい。

 

それでは、お付き合いありがとうございました。